無期雇用派遣はメリット・デメリットを踏まえて慎重に検討すべき

無期雇用派遣はメリット・デメリットを踏まえて慎重に検討すべき

無期雇用派遣

同一の派遣会社・派遣先で5年以上勤務した経験があるわたくし。

当時は本人と派遣先さえよければ年数限らず同じ職場にいられたのですが、現在は2015年の派遣法改正により従来の登録型派遣だと3年を超えて同一部署にはいられなくなっています。

2015年の派遣法の改正と2013年の労働契約法の改正により成立した「有期労働者の無期転換ルール」とあいまって、無期雇用派遣が制度化されるときいて一瞬いいな!って思っていました。

しかし派遣で働き続けたい人にとって、無期雇用派遣はいいことばかりではなさそうなんです。

無期雇用派遣のメリットとデメリットを整理してみました。

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無期雇用派遣とは

無期雇用派遣とは、派遣社員として働く場合、派遣会社と期間を定めない雇用契約、です。

「常用型派遣」が正式名称。

派遣会社との雇用契約になりますが、派遣会社の正社員とも違います。

無期雇用派遣になれる人

5年間同じ派遣元・派遣先で働いてきた人は派遣元の派遣会社への無期雇用派遣への転換を申し入れできます。

または派遣会社の無期雇用派遣の採用選考に応募し、選考を通過することで無期雇用契約を結ぶことができます。

5年・同じ派遣会社から継続して派遣されているというのが無期雇用派遣転換の申し入れをできる条件なのですが、アデコでは自社からの派遣社員以外でも2.5年以上継続して派遣社員として働いている人向けにハケン2.5という新基準を設けました。

【参考】アデコ独自の無期雇用 新基準「ハケン2.5」 | アデコの派遣・無期雇用派遣

労働人口が減り人材不足が叫ばれる昨今。若年層の正社員にとどまらず安定したパフォーマンスを期待できる優秀な派遣社員についても派遣会社が囲い込みたい状況につながっているのです。

無期雇用派遣のメリット

収入が安定する

無期雇用派遣の選考に通ると、派遣会社との雇用契約となります。

派遣先企業への就業中はいうまでもなく、契約が途切れて派遣就業がない待機期間中も派遣会社に勤務したり研修プログラムを受講したりしながら一定の給与を得ることができます。

例)アデコのハケン2.5では万一就業先が定まらず待機になった場合でも休業手当(労働基準法の規定により算出された平均賃金の60%)が支払われると明記

給与は基本的に月給制です。

従来の登録型派遣では時給制のため月収は月の就業日数によって増減しますが、GW、お盆休み、年末年始休みがあっても毎月一定の収入が見込めます。

交通費や諸手当、賞与の支給がある

交通費は月3万円までなどの上限はありますが、別途支給されます。

交通費が別途支給になることにより交通費分は非課税になるので、トータル年収がこれまで派遣社員として働いていたときと変わらない場合節税メリットが大きくなります。

また派遣会社の業績によって決定される前提はあるものの、賞与も支給すると明記されています。

「人で3年ルール」の対象外になる

無期雇用派遣になると登録型派遣にある「人で3年ルール」の対象外になります。

派遣先企業と派遣会社との派遣契約が続く限り、何年でも同じところで働くことが可能になります。

わたしが無期雇用派遣いいな!と瞬間的に思ったのはこの部分。

登録型派遣なら最長でも3年しかいない人だからいろいろ教えてもしょうがない、となっていたものが、そうはならないので任せてもらえる仕事の範囲が広がります。

乱暴な言い方になりますが、現場は有能な労働者がいて一定賃金で使い続けられるなら、その人にはできるだけ多くの仕事をこなしてほしいですからやる気をみせれば仕事量は確実に増えるでしょう。

定年は60歳、条件が揃えば65歳まで継続雇用

登録型派遣では悲しいかな年齢があがるほど一般事務系の求人に応募できる数は減ります。

無期雇用派遣になれば60歳まではきちんと働いていれば雇用契約は維持されます。

ちゃんと責務を果たしてさえいれば60歳までは収入が途切れることはなくなるのです。

次が決まらなくてはどのくらい稼げるのかもわからない、未来の雇用が約束されていない状態より安心感はありますよね。

副業は容認されている

アデコのハケン2.5では「パラレルキャリア」として申請すれば副業(複業)も認められています。

【参考】無期雇用派遣の「パラレルキャリア」導入について | アデコの派遣

無期雇用派遣の月収は派遣されるエリアの相場や派遣会社の業績に左右されるため、給与(時給)の変更幅は年間最大10%以内と規定はあるものの可能性があると明記されています。

パラレルキャリアで休業や減収になったときの収入確保の保険をかけられるのは安心ですね。

Heart

無期雇用派遣のデメリット

無期雇用派遣のしくみを踏まえ、考えうるデメリットも挙げてみます。

派遣会社に紹介された仕事は断りにくい

派遣会社としてはなるべく稼働していない期間を少なくしたいために、就業先が途切れた無期雇用の派遣社員には登録型派遣の人があまり受けたがらない期間限定の就業先や通勤時間のかかる就業先を紹介される可能性があります。

交通費が支給されるがため、通勤時間がかかっても頻繁に就業先が変わるようなことがあっても断ってばかりはいられなくなります。

採用選考のハードルが高い

登録型派遣から5年の無期転換ではない限り、無期雇用派遣の案件は応募の段階から派遣会社による採用選考があります。

イメージとしては派遣期間終了後直雇用契約になる予定の紹介予定派遣の採用・選考に近いのではないでしょうか。

【関連】紹介予定派遣で正社員になれる人・なれなかった人の実体験談

就業先で安定的に働く意欲や自身のスキルアップに真摯であることを登録型派遣以上に求められるはずです。

長期休暇を取得しにくい、残業を断りにくい

登録型派遣よりは任される仕事への責任が増えることが予想されます。

仕事への責任が大きくなるほど、自分の都合に合わせた長期休暇や残業量のコントロールはしにくくなるでしょう。

要するに、雇用を保障されることと引き換えに正社員に近い責任がのしかかってくることは覚悟する必要があるでしょう。

契約社員みたいなものかな、とイメージしています。

無期雇用派遣はあくまでひとつの選択肢

上記にあげた無期雇用派遣のメリットとデメリットを踏まえると、既に5年間派遣先と派遣会社と良好な関係を築けている35歳以上の一般事務系派遣社員が無期雇用派遣に転換すれば受けられるメリットが大きいと感じます。

逆にWebデザインやIT系などの専門スキルがある人は無理に目指さなくてもいいのかなと思います。もっとスキルアップできれば派遣先を変えていくことで時給を大きく変えていくことはできるのでね。

とはいえ無期雇用派遣はなってからでもキャリアパスを3ヶ月ごとに派遣会社と相談する機会もあるようです。

目の前に無期雇用派遣のチャンスがあるのなら一度なってから考えても損はなさそうなんですよね。

仕事は人生の時間の大半を費やすことです。

自分が働く環境を考えて、派遣会社や派遣先の職場は魅力的でありそうかという基準で選んでいけば納得いく選択にしていけるのではないでしょうか。

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